「春のはじめ・・・」解説 ストーリー編

「春のはじめのころに」解説・キャラクター編を
はじめるつもりでしたが、

全体のストーリーで補足したいことがまだありましたので
今回はそのお話。


「春のはじめのころに」のストーリーは
ほぼ二部構成になっておりまして

第一回~第十回までが前半、

第十一回~第十八回までが後半
、という流れです。





前半は、主人公の盗賊・獣目が
難民たちの英雄に祭り上げられてゆくまで


同時に、もうひとりの主人公であるヒイナが
彼に対するあこがれをつのらせてゆくまで
です。




難民の英雄と、彼のことを好きな女の子という
作品のいちばん基本的な設定が
このながい期間をへて次第に確立するんですね。


ヒイナ&獣目



後半では、そんな2人の前に
ちがった生き方をする人々があらわれ、
獣目が“絶対的ヒーロー”ではないことが徐々に示されてゆきます。

(それでも、彼をカッコよく描くというスタンスはずっと続きます)



前半でも、出てきた人々の多くは
獣目とは違うタイプの人で
だからこそ、彼を畏敬の念で見るのですが
後半では物語の主要キャラクターとして出てくるのです。

獣目と彼らがからみ、ときに対立します。
そして、それを観察しているヒイナは
自分に優しい人もけっして一様ではないんだな、ということを学んでゆきます。




後半のはじまりとなった第十一回
作品中でもっとも重い内容でしょう。
描いている作者でさえ、だいぶつらかった回です。

ここでヒイナは
あこがれの人と一緒に旅をしたくて、
いままで保護者になってくれていた親切なおばさんとその子供に
自分から別れを告げてしまいます。


第九回でおばさんが
「南に親戚の人がいると言っていたけど・・・」と
ヒイナに言っていまして
ここからヒイナがおばさんにそう話していたことがわかるのですが
おそらく、これは獣目といっしょに南に行きたいがためのウソでしょう。


おばさんとジュンくん(おばさんの子ね)は
ヒイナが盗賊の男をひそかに思っていることを知らないのです。

ヒイナも、心配をかけたくないから
そのことを黙っている。
それで、南に行く理由として
親戚の人がいる、と言ったんでしょうね。



もっとも、この「後日談」を描くことになったら
親戚の人が実はいました、なんてことになるかもしれませんが(笑)。





保護者を失ったヒイナは、たちまち外の世界の嵐にまきこまれてしまいます。

おばさんからもらった肩掛けを盗られてしまい、
ひとりぼっちで廃墟の町をさすらいます。




そんな、暗く重い雰囲気は
次の舞台である修道院(第十二回十三回)で一挙に晴れます。
第十二回は、おそらく作品中でもっとも明るい内容。

いつのまにか私自身、ヒイナと一緒になって旅をしている気分でした(笑)。



この修道院の院長先生と、
獣目やヒイナと同じくここに来ていたヨリス
後半では重要なキャラクターです。


修道士の顔12.6.3
修道院長。


ヨリス、12.7.28.
ヨリス。

2人ともヒイナに親切ですが、獣目とは対立します。



それでヒイナは、さっき書いたように
「いい人っていろいろいるんだなぁ」ということを学んでゆきます。




獣目は最終回まで、
いちおう難民たちの英雄という立場は保ち続けます。
しかし、これもさっき触れたように
“絶対的ヒーロー”ではないことがすこしずつ示されてゆきます。

このことは最終回ではっきりと描いていますが、
ラストシーンで、そこからさらに流れが転換して
全編が終わります。


獣目を愛する者にとって、やはり彼は英雄だった――という終わり方ですね。



さて、次回からキャラクター編・・・始められるといいんだがな・・・

まだ不安なんで、予告はしないでおきます(笑)。

コメントの投稿

非公開コメント

NIKI 安藤ニキ・ホームページへ
プロフィール

探究者ニキ

Author:探究者ニキ
安藤ニキ
神奈川県横浜市生まれ、
慶応義塾大学文学部哲学科卒業の画家。
油彩・版画・ドローイングなど表現方法はさまざま。たまーに漫画も描きます。
作品のお問い合わせはnikiあっとando-kobo.jpへお願いいたします。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
リンク
QRコード
QR