私が生き延びた理由(わけ) 5

第五弾まで来ましたね(笑)。

いや、過去をさぐってみると
見つけることが多くて、書きたいことが出てくるんですよ。
次から次へと。


いままで「自分が自殺しなかった理由」について
子供の頃の心理状態をメインに書いてきました。

それで今、強く思うのは次のこと。

大切なのは
私が過去にどんな経験をしたかではなくて、
その過去から何を得るか、なんです。




前回の記事の終わりに
自分が生き延びたのは
こういうことを発信するためだったのかもしれない――と書きました。

それと似ています。



同じような過去を背負っていても
過去の受け取り方はいろいろある、と思う。

大きく分ければふたつ。

ただ、自分をかわいそうな人間だと思って
運が悪かった、不幸だった、で済ますか。

それとも、
その経験からできるかぎり何かを学ぼう、得ようとするか。



私は経験から何かを得るほうを選びました。

自分をかわいそうだと思っているだけなら
体験した苦しみがすべてムダになってしまうからですよ。

第一、
誰かを・何かを恨んでばかりいるとしたら
そういう生き方がいちばんつらいんです、私にとって。



本当は、私が見た・聞いたようなことは
ないに越したことはないんです。


若いうちは苦労したほうがいい――とは
よく聞きますけど、
自分の人権にかかわる苦労なんて
本人の心が傷つき、すさむだけですよ。

私は結局、一線をこえることはしませんでしたけど
越えてしまった子供たちがたくさんいる。
その子供たちと私の間に
いったいどれほどの差があったのか、分からないです。



嵐の中をすぎて
私がいちばん恐ろしかったのは
そんな自分の体験の「意味のなさ」でした。

どう考えたって意味があったように思えなかったからです。

それだったら、あれはなんだったの?


私のその後の人生って、
おそらくこの問いに答えを出すことが
大きな目的だったはずですよ。

ひいては、自分の体験に「意味を見出す」
「意味がなかったなら自分で造る」こと。




それで、私が見出した(あるいはでっちあげた)意味はコレ。

今思い出せば、成人するまでの時間は
めちゃくちゃ濃厚な人間観察の場だったと。


当時はもちろん自覚していませんでしたけど。



私は周りにいる人たちを観察したし
その中にいる自分自身のことも観察しました。


それでさまざまなことが見えたんです。

「人間」という生き物の本質にかかわること、と言っても
決して言いすぎではないはずです。




人が優しい顔を使い分けできることを学んだし、

人が、罪悪感とは無縁に生きていられることも学びました。


人は、希望がなくても生きていくけど

希望を失っても願うことだけはやめられないということも。


人は自分の姿が見えないということも、

宗教が人の心をゆがめることも、

「集団」の持つ暗黒も、

人が自分の心を欺けるということも、

欺いているという自覚すら
もたないでいられることも。


幸せな人こそがまわりを幸せにできるということも、

苦労した人が優しくなれる――というのは
ほとんどありえないのではないか、ということも。


そして、
何を体験しようとも
そこからどう行動するかは本人が決める、ということも。



私が自分の過去を
直接、作品にすることはおそらくないでしょう。

正直なところ、
作品にする価値すら見いだせないからです。
それくらいいやな記憶なんです。
私自身の「恥」の記憶でもあるしね。


でも反対に、さっき書いた人間観察は
作品につよく影響しています。
世界観・人間観ともに。

だから私にとって、アーティストとして活動することが
そのまま「過去に意味を与える」ことでもあるのです。

テーマ : 生きること
ジャンル : 心と身体

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No title

ホント、私も

「それだったら、あれはなんだったの?」

と思うような事があり、それに対してなんとか、意味を見出したいと思った事あります。正直、現在進行形でもあります。
過去を受け入れて、それを意味あるものと消化できるように、これからの人生歩みたいと思ってます。
また励まされました、ホントありがとうございます。

Re: No title

経験そのものよりも、
経験にまったく意味が感じられないことの方がつらいかもしれませんね。
収容所とかで生き残った人がのちのちまで苦しんだのは、このことも大きかったと聞きます。

私もまた現在進行形です。そうやって作品を生み出しています。
ネタには困らないですが、いいのか悪いのか・・・(笑)
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プロフィール

探究者ニキ

Author:探究者ニキ
安藤ニキ
神奈川県横浜市生まれ、
慶応義塾大学文学部哲学科卒業の画家。
油彩・版画・ドローイングなど表現方法はさまざま。たまーに漫画も描きます。
作品のお問い合わせはnikiあっとando-kobo.jpへお願いいたします。

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