アッシュエルのプルガダイス通信 3

こんばんは、アッシュエルです。

前回の通信でちょこっと触れておいたとおり
私が普通の天使から黒天使にかわったときのいきさつをお話しましょう。



天使と少女0001
こちらは、ヒイナのもとに降りて来た時の図です。


プルガダイスが“一度終わった世界”だというのは
このまえ言ったよね。
で、私はその“第一の世”が終わった時に
今の姿になったのだということ・・・

あのとき、私はとある町にいたんだ。
何百年の昔からことに見守って来ていた町だよ。
古い、大きな聖堂が建っていた。石造りの、白い、高い尖塔を持った聖堂だ。

禁教令が引かれていた歴史もある。しかも長い。
それだけになおさら、おふれが解かれたときは
みんな喜んでいたし
聖堂が建った時もそうだった。


だが、その時間も長くは続かなかった。


第一の世が滅んだのは、
もっぱら当時の人々の争いによるものだ。
どの国もどの国も“禁じられた力”を手に入れて
この地上をすべて我が物にしようと狙っていたのだ。

しかしあらゆる国が見境もなく
その力を使ってしまったがために
結局はだれも、何も手に入れられないことになってしまった。

なぜって、すべては灰燼に帰してしまったからさ。
大地も、街も、かなり多くの人間もね。


“禁じられた力”がなぜ“禁じられた力”なのかといえば
人間には制御できないからだよ。
そのことに気付かなかった、
あるいは気付こうとしなかったがために
自分たちを滅ぼすことになったんだ。



そして私のいた町も
その犠牲になってしまった。
あの美しい聖堂もろとも。

当時の人間が手にしていた“禁じられた力”は
そんなことかまいはしない魔法だったからね。

私はまともに炎をうけてしまい
聖堂ごと大地に投げ倒されてしまった。
気がつけば体中にやけどを負っているし
右目はなくなっていたし
翼も片方、ほぼ完全に焼失していた。

天使の身体を持ってしても無傷ではいられなかった。


もし人間だったら、間違いなく死んでいたレベルの傷だろう。
だが私は、天使であるがゆえに死ぬこともできなかった。



それ以来、髪も黒く染まり
今でも変わっていない。
焼けたり、煤をあびたり
汚れた雨をあびたりしたためだね。
身体にも傷跡はしっかり残っている。


それは恐ろしい苦しみだった。
もともと天に生まれたから、それまで一切の苦痛を知らなかったのです。
それだけになおさら堪えた。


そのとき、残った片方の目でしっかりと見たんだが
地上でも同じことが起きていたのだ。
地上にいた多くの人が私と同じだった。
その人たちがその場で天にのぼっていくのを
私は見たけれど。


しかし人々はすべて天にのぼったわけではない。
地上で生き残った人がわずかながら、いるからだ。

彼らは灰の中で、この新しい世界で生きなければならない。


私もまたその時に生まれ変わったのです。

地上に取り残された人々、
救いの見えない人々、
人間にも神にも絶望した人々の前にだけ現れると。

もっとも天使の存在をもとめているのは
実はそういう人たちなのだから。



以上が、私の生まれ変わった“洗礼”の物語だよ。
いつかこのときの話も劇画になるかもしれない。
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