アイドルと聖者 其の四

ちょっとばかり間をおいて、
アイドルと聖者の共通点、検証四回目です。


小椅子の聖母
ラファエロの【小椅子の聖母】。


これまで「共有されたイメージ」
「そのイメージの美化・神格化」について書いてきました。


そこで次に強調するべき、「画像の力」ということになるわけですよ。
共有のためのツールですね。




アイドルの場合、イメージの共有には
テレビや雑誌、ファンクラブなどが
一役買っています。

そこには当然ながら、写真という媒体があります。
もしくは映像という媒体が。

アイドルの姿かたちを写しとった写真は
ファンの間に共有され、
一つの対象への愛情をたくさんの人が同時に持つことができます。


たとえ、その人自身が近くにいなくても
写真や映像を身近に置くことで
“イメージがすぐ近くに保たれている”という安心感があるのです。
この“イメージが保たれている”安心感は
即座に“その人がここにいる”という安心感に拡大します。



さて、聖者には聖像(イコン)というものがあります。
あるいは名画に描かれた姿があります。

アイドルの写真とまったく同一視することはできませんが、
性質的にかなり似ていることは
否定できないと思いますよ。



アイドルの写真を部屋の壁に貼り、
あるいはこっそりと秘密のファイルに保管する。
そして見つめてはうっとりとし
「また一日がんばるぞ!!」と力をもらうことができます。

これを聖像(イコン)と呼ばずしてなんと呼びましょう。



次に、画像の持つ力とおなじくらい重要なのが
グッズです。


アイドルだったら公認Tシャツ、応援用グッズ、ファン同士おそろいの衣装、
もちろんCDやDVDもそうですよね。

あと、「○○ちゃん愛用の品!」というキャッチコピーが使われたり。
そういう品物がどどっと売れたりするのは
グッズの持つ力をよく示した現象であるはず。

さらに、本人の着たナマの衣装とか
ロックスターなら使ったギターとか、
展示してあれば大喜びで見に行きます。


さて、聖者の場合もグッズと呼べそうなものがあります。

聖遺物や、伝道に使われるものです。

聖遺物というのは、
聖者が生きている間に身に着けていた服や
殉教の時に使われた道具などのこと。

さわると病気が治るとか、いろいろな奇跡を起こすと言われています。


たとえばキリストの磔刑につかわれた釘。
全世界に20本は伝わっているそうです。(・・・・・)
実際に使われたのは多くたって4本なんですけどね。

しかし、重要なのは真偽ではなくて
聖者への愛がいかに強いか
です。

「自分はキリストの釘を拝めたんだから
絶対に元気になれる!!」と信じたら
精神的な暗示によって治ってしまうケースも多いのではないでしょうか。


ほかにも、
今でも教会でよく配っている
聖句を書いたしおりとか、
クリスマスの飾りに使われる聖家族の人形とか。

聖書だってグッズと言えないこともないですね。
あれをすべて読破した人は少ないでしょうけれど、
にもかかわらず宝物のように大切にされるんですから。

現に私自身、子供のころに使った聖書を今でも大事にしています。



先に書いた「共有のためのツール」と
「グッズの力」は
わりとかぶるところもあって、
たとえばCD/DVDや聖画像(イコン)も
グッズの一種と言えるかもしれません。

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No title

今回は「ファンと信者」の話でもありますよね。

アイドルと聖者に共通点がある、つまりファンと信者にも共通点がある感じですねぇ。

日本のアイドル文化もどこまでも宗教的な意味合いありますものね(笑)
いろんな宗派があるのも・・・(笑)

Re: No title

そうそう、そうなんですよね。毎回読んでくださってありがとうございます。
ファンの熱心さは信仰の領域と区別がつかないまでにヒートアップしていきますから。
宗派も確かにありますね。

ファンと信者についてはまた、あらためて書いてみようと思っています。
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プロフィール

探究者ニキ

Author:探究者ニキ
安藤ニキ
神奈川県横浜市生まれ、
慶応義塾大学文学部哲学科卒業の画家。
油彩・版画・ドローイングなど表現方法はさまざま。たまーに漫画も描きます。
作品のお問い合わせはnikiあっとando-kobo.jpへお願いいたします。

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