イカロスの神話のこと

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みなさんはイカロスの神話をご存知でしょうか。
ギリシア神話に出てきます。

塔に幽閉された青年イカロスは
大きな翼を作って脱出したが、
自由になったよろこびに高く飛び過ぎて
太陽に近づきすぎたために
翼をくっつけていた蝋がとけて墜落死してしまった――


という話です。


古来、この話には二通りの見方があります。




ひとつは、若者の思い上がりをいましめる話として
とらえるものであり

もうひとつは、理想に殉じた者の手本として
よくやった、あっぱれとほめたたえるもの
です。
時代や場所によって評価は変わっているようです。

私はどちらかといえば、あとの方を支持したいところです。



ギリシア神話には
実は似たような話がもう一つあって
そちらの主人公はファエトンといいます。

彼は太陽神ヘリオスの息子でしたが
父親の乗り物である火の二輪車を乗り回して
結局は馬を制御できず、世界中を火事にしてしまいます。
で、ゼウスが雷を投げて二輪車もろとも墜落したそうです。

こちらははっきりと、向こう見ずな若者へのいましめとして語られます。


しかし実際には
ファエトンの場合はさして褒められてはいないですね。
さしてというか・・・ほとんどか。
イカロスの場合とはだいぶ違います。


イカロスの方だけが、
あこがれや賞賛のまとにもなってきたのには
しっかりした理由があるのです。私が思うに。


なぜなら、ファエトンの墜落は
単に思い上がりゆえであるのに対し、
イカロスのそれは「幽閉された場所からの脱出」という
自由へのあこがれから来たものだからです。


そして「太陽に向かって飛ぶ」という構図には
おそらく、夢に向かって飛び立とうとする人間の姿が
二重写しになっているのだろうと。


ことに、若くして死んだ人をほめたたえるとき
イカロスに例えるのはよくあります。



私が4歳ぐらいの時でしたかね、
NHKの「みんなのうた」に
『勇気ひとつを友にして』という曲があって
このイカロスのことを歌っていました。

イギリスのヘヴィ・メタルバンド
アイアン・メイデンにも
『イカロスの飛翔』という曲があります。




この手の話はどうやら
洋の東西を問わずに受けるらしく、
中国の故事にも「尾生の信」という話があります。
(この漢字でよかったかどうかおぼつかない・・・)

ある青年が、女の子と橋のたもとで待ち合わせをし
女の子がいつまでたっても来なくて
それでもずっと待ち続けているうちに
川が増水して溺死しちゃった
という話です。

儒教の教え「礼」を説くための逸話なんですが、
こちらも、賛否両論の評価があります。

ひとつは儒者(儒教を信奉する人)の
融通のきかないところ、頭の固さを皮肉っている
とする見方。

もうひとつは、
命をかけて約束を守り通した高潔さをほめたたえる見方です。
これも時代と場所によって評価が変わっているようです。



「命がけ」というのは
だいたいカッコいいものですが、
時と場合によってはただの無謀、愚行としかならないんですね。

そしてさらに痛いのは、
そういう「命がけ」にあこがれて
“死ぬこと”が自己目的化するケースです。
中二病をこじらせるとこうなるんでしょうか(笑)
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コメント

No title

この歌自分も学校で習ってよく歌わされてました~
小学1年生か2年生のころだったと思います。

このころからすでに、「いったいこの歌は何が言いたいんだ?」とは思ってました。
勇気をもってて偉い、のか無謀なバカなのか・・・・?

ただ、この頃見た子供向けのテレビ番組とか、本とかにも「勇気を持つ」事を称える内容はあったのですが、
このイカロスみたいな「大失敗」に終わる話ではなく、だいたいは「勇気をもってチャレンジした結果、成功する」という内容だったとので・・・

子供の頃の僕はイカロスは単純に「バカな人」と、思ってました・・・・

Re: No title

あら!覚えている人がいた~と思ったらkotatsuさんでした。
小学校で歌わされましたか。それはちょっと・・・どうなんでしょうね(笑)。
私はどちらかといえば感動した方なんですが。
記事に書いたとおり、正反対の解釈ができる神話なんで
そういう複雑なところまで子供に分かるのかなーと思ったりもします。
神話とか殉教伝説とか、
けっこう中二病のまま突っ走った的なのが多いのかも・・・

No title

改めて歌詞を調べてみると、3番でイカロスが死んで、4番は明らかに勇気を褒め称えてましたね。
自分は3番までしか知らなかったですね。

それゆえか、自分は子供のころから、この歌は「どっちにも取れるけれども」と思ってましたし、同級生もそう思ってたように思います。

なによりすご~い悲し~い感じの歌い方だったようにも記憶してるので、悲しい歌なのは間違いないな、とは思ってました(笑)


「勇気」を称える・・・という所と、「人間としての生き様として、あることに命をかける」という事を別に考えると、見えてくるものは違うのかもしれません。
子供の時であれば、「勇気」の部分しか理解できないですね。

Re: No title

この曲、意外と覚えている方が多いみたいですよ。そして、印象もその時とあとでは変わるみたいです。
あのときは分からなかったけど、今では(賛否両論の複雑さも含めて)意味が分かる、という歌のようです。
神話って本来そういうものかもしれません。
それにしても、この歌が一部で問題視されたというのは本当でしょうかね?
別に、これを聞いて身投げしたくなる子供がいるとは思わないんですが・・・笑

No title

あっちに書いたりコッチに書いりになってますが、気になったので。

問題視されたって話は聞いたこと無いですけど、最近はアニメでタバコ吸うシーンがあうだけでドーコー言う所がありますから、あるのかもしれないですね。

ただ、絶対心配いらない!!と自信を持って言える理由があって、
そもそも、子供向けの1億冊以上売れてるような人気漫画に

「主人公をその兄が命を犠牲にして守る」なんてシーンがあります。(ワンピースより)
どこからどうみても、完全に、かっこよく、肯定的にそのシーンを書いてるし、それで死ぬ子供の方がよっぽど居そうですけど、聞いたことないので大丈夫かと。

ドラゴンボールにいたっては、「地球を滅ぼしにきた主人公の兄を、主人公が道連れにして共に死ぬ」話もあります。
それも完全に肯定的に書かれてますけど、問題にはなってないはずです。

Re: No title

マンガでもそういうシーン多いみたいですよねぇ。
でも特に問題にはなっていないみたい・・・というか、
そこまで問題にしていたら何も表現できなくなっちゃいますよね(笑)
どちらかというと、現実の事件のほうが人に影響を与えやすいのかもしれません。

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