山崎洋子さんの自伝から―自殺について(2)

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山崎洋子さんのお祖母さんは
洋子さんが8歳の時に自殺しています。

天橋立で入水したのです。

しかし、洋子さんのお祖母さんに何か言える人は
(もっといえばお祖母さんの自殺を裁ける人は)
この世にいないでしょう。
いるとしたら、それこそ洋子さんぐらいじゃないでしょうか。




洋子さんの自伝についてはこちら

洋子さんが物ごころついたとき、
保護者と呼べる人は父方のお祖母さんだけでした。
両親は離婚し、お父さんは消息不明、
お母さんは再婚して町から出ていきました。


お祖母さんが亡くなった後、
洋子さんは継母の虐待、
実母に引き取られても愛されないという道を歩みます。



これだけ読むと、つい単純に考えたくなりそうですね。
「小さな子供を置いて自殺するなんて!」と。

しかし、当の洋子さんはそう思っていない。
少なくとも、この自伝では
そういう言葉はどこにも見られません。


洋子さんはお祖母さんの事情を知っているのです。

詳しいことは自伝にあるので省きますが、
お祖父さんとお祖母さんの夫婦は
「人格破綻者」と「耐えるしかない女」だったと書いてあります。


「私の自殺考」という章からいくつか引いてみましょう。


「私は自殺という行為を、『考える葦』にだけ与えられた最終武器だと思っている。(・・・)
 自殺した人を、弱虫と決めつけないでほしい。川端康成だってヘミングウェイだって自殺したのだ。
 それぞれ事情は違えども、耐えに耐え、考えに考えた末の、究極の決断だったのだろう」

「自殺は、死ぬためにある武器ではない。生きるための武器だ」




自殺が「生きるための武器」だ、という箇所に
洋子さんの覚悟が集約されている感じがします。

これは、本気で生きているからこそ
出てくる言葉でしょう。


実は私も大いに共感しています。
ほかならぬ私が、実際にそうやって生き延びましたから。


洋子さんの言うとおり、
「川端康成だってヘミングウェイだって自殺した」のです。
私が追加すれば、
プリーモ・レーヴィだって原民喜だって自殺したのです。



自殺を断罪するのは簡単です。
死ぬなと言うのも簡単です。
でも、自殺の背景にあるものは膨大なのです。

それに目を向けないで当人だけ責めていたところで
自殺者が減るわけはないでしょう。


とはいえ、この記事を読んで死ぬ気になったなんて話は
なにとぞご免こうむりたくあります。
私だって人間である以上、
とにかく人が死ぬことだけはご免なのだから・・・

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コメント

No title

私も共感します。

自分は安楽死とか肯定派なので、自殺はとにかく駄目、って考えでは無いですね。

Re: No title

ただ「だめ」ってだけじゃ、自殺を選ぶ人は減りませんよね。

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