地獄草紙のこと

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※上の画像はわたくしの作です。念のため


みなさまは仏教美術にご興味がおありでしょうか。

このたび本ブログで
初めてとりあげさせていただきまする。
中世仏教美術の粋である「地獄草紙」です。


私は何を隠そう、15歳の時から
この手の仏教美術にたいへん関心がございました。





もともと幼少期には
キリスト教の教育を受けて育ったこともあり、
死生観や「罪」についての意識が
ふつうの子供よりは高かったと言えましょう。


私が初めて「地獄草紙」を見たのは
さきほど述べたとおり15歳の時。

まだ高校に入ったばかりでした。



私の通った高校は
図書室の蔵書がなかなか充実していました。
その中に小松茂美『日本絵巻大成』が
なんと全巻、そろっていたのです。



もっとも、これはほかの学校のことを知らないので
一概に私のところが特別だったとは言えませんね。


その中の第七巻、
『餓鬼草紙・地獄草紙・病草紙・九相詩絵巻』。


どうやら
末世の思想が広まった時期に描かれた絵巻
――というテーマのようです。


末世というのは末法の時代ともいいます。

釈迦の入滅後第三段階の世で
念仏を唱える者もいなければ仏を拝む者もいない、
まさに世も終わりだ、西洋的に言えば世紀末だ―
という時代のこと。



日本では1052年に末法の世が始まるとされていました。



実際、そのころには戦乱に飢饉に疫病にと
ひとことで言って今みたいな時代だったわけです。(今は世紀のはじまりだけどね)



そんな時代には極楽往生を求めて
多くの人が「いかに死ぬか」を考えました。

そこで書かれたのが
恵心僧都源信なる坊さんの『往生要集』です。



この著作ではまず
人が死んだらどうなるかの答えとして
『六道輪廻』がわかりやすく説かれます。

「六道」とは生き物が生まれ変わる六つの世界のこと。
下から地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天です。

とりわけ地獄については多くの教典を参照しつつ
たいそう詳しく書かれています。



地獄というのは私たちの住んでいる世界「贍部州(せんぶしゅう)」の地下にあり
八つの大地獄と、それぞれの地獄に十六の別所があります。

地獄落ちになる罪状はだいたい以下の通り。


・殺し
・盗み
・淫らなこと
・飲酒
・うそつき
・よこしまな考えを抱く

ほか、仏像や仏法をけがす、肉親を殺すなど





すべて解説しようかと思いましたが
源信先生があまりに熱心に書いてくれているため
紹介しきれません(苦笑)。



とりあえず、次のことだけ書いておきますね。

この八大地獄の四番目に
「叫喚地獄」というのがあって
現存する「地獄草紙」東博本はここの別所を描いたものだ――
ということ。




「叫喚地獄」とは
ここに堕ちた罪人が苦しさのあまり泣き叫ぶから
この名前なんだそうです。

俗に言う「阿鼻叫喚の巷(ちまた)」の叫喚です。


ちなみに「阿鼻」も地獄の名前で
これは第八番目の、もっとも罪の重い人間が堕ちるところ。
「無間」ともいいます。




と、ここまで書いたところで
すでに長すぎるので(苦笑)、
ここからは次回にまわしましょう。

すいません、
「地獄草紙」について語るとなると
その背景までいちおう語っておく必要があるので・・・

テーマ : art・芸術・美術 - ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

No title

私もこの話興味深いです!!
長く語って頂いていいですよ(笑)

Re: No title

おおっと~笑
それでは遠慮せずに行きましょう。次回は地獄草紙本編の話です。

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