江戸川乱歩と自閉症

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・・・と書いたからといって
別に乱歩が自閉症だったとかいう内容ではございませぬ。

乱歩作品に、そうとしか思えない人が出演しているんですよ。



みなさま、「恐ろしき錯誤」という短編をご存知でせうか。
大正12年11月に「新青年」に発表された、
乱歩の第三作だそうです。かなり初期ですね。





内容は比較的単純で
乱歩作品にあるおどろおどろしい犯罪も特に起こりません。

妻の死を昔の恋敵のしわざだと思いこんだ男が
復讐をたくらむけれど
結局失敗する――という話です。



この主人公の北山氏という人、
こんな風に作中で語られています。
(読みやすくするために改行しました)


(・・・)社交界の会話、洒落とか冗談とかいうものは、まるでだめだった。
・・・しかし議論などになると、ずいぶん雄弁にしゃべった。
彼は何か一つの目的がきまらないことには何もする気になれぬらしかった。
その代わり、これと思い込むと、傍目もふらずに突き進む方だった。
そういう時は、目的以外のことにはまるで盲目になってしまった。
この性質があればこそ、彼は学問に成功した。
不得手な恋にさえ成功した。(・・・)
妙子を得るまでは妙子のことのほかは何も考えなかった。
妙子を得てしまうと、今度は学問に熱中した。(・・・)
そして今や妙子の死に会するに及んでは、
「可哀そうな妙子」のことのほかは何も考えられぬ彼であった。




妙子というのは殺害された(と北山氏が思い込んでいる)
奥さんのことです。


引用が長くなりましたが、
この部分を読んだ時に私はおやっと思いましたね。




この北川氏の性質は
自閉症スペクトラムの要素を強くあらわしているからです。

いったい、乱歩はこういう人物像をどうやって生み出したのかしら。
正直、とても空想で生み出したとは思えないのです。

もしかしたら、乱歩の身近なところに
こういうタイプの人が実際にいたのではないでしょうか。




なぜかというと、
物語の本筋と北山氏の人柄は
かならずしも必然性で結ばれていないからです。

北山氏がこういう
極端な一点熱中型の性質だったから
元・恋敵への復讐にも熱中したのだ――と
作中では説明されていますが、

“愛妻のかたき討ち”というだけで
十分この熱中ぶりは説明できるはずです。


にもかかわらずあえて
上記のような説明があるってことは・・・
やはり誰かモデルがいるのでは。




自閉症スペクトラムについては
「本当はそんな障害存在しないのだ」という説とか
「化学物質のせいだ」「いや放射線のせいだ」「水銀のせいだ」などなど
議論かまびすしいですが、

もしかしたら
大正時代からすでにいたということかもしれませんぞ!



まだ障害という認識もなく、ただ性格と見られていた段階でしょうけど。

今のように化学物質や放射線があふれていない時代から、
すでにいたのかもしれません。

テーマ : アスペルガー症候群・自閉症スペクトラム - ジャンル : 心と身体

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