「被害者萌え」

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ずっと書きたかったことがようやく言葉になりそうなので
今回はその話。

「被害者萌え」とでもいうべき人々がいます。
「弱者萌え」と呼びかえてもいい。


差別されたり、弱い立場にあったり、
そういう人たちが好きで好きでたまらないという人たちです。


人間はすべて人間として尊重されるべきですから、
理由は何であろうと
差別撤廃運動とか権利運動とかにかかわるのは何ら非難されるものじゃありません。




ただ、ちょっと気になることはあります。





人間的にゆがんでいる人がいるんですよ。

残念ながら、私が会った人や見聞きした言動は
そういうのが多かった。




萌えなら萌えでいい。
そういう趣味だってあっていいと思う。


ただ、それを自分のヒューマニズムと勘違いして
「自分は萌えない」という人々や、ストライクゾーンから外れた人々を
逆に軽蔑したりする人がいる
、とはどういうことなんでしょう。


ストライクゾーンってのは、弱者の理由を持っていることね。
生まれた国とか、民族とか、私もそうだけど障害を持っているとか。



※念のために書いておきますけど、
 差別撤廃運動その他にかかわっている人が全てこうだ、と
 言っているわけではありません。
 一人の人間としてバランスのとれた人だってもちろんいます。





画家ゴーギャンがタヒチの女性を描き続けたのを
「汚れた西洋文明に背を向けた」と賞賛する向きがあります。

そんなゴーギャンの制作態度を
「異国の女に欲情しただけだ」と喝破したのはかの澁澤龍彦です。
実際、異国趣味の白人男性って今でもいるし。


欲情したなら欲情したでなんにも悪くない。
ただ、それを過剰にほめたたえるのってどうなのか。





ある文学者が、教師時代に
交通事故で片足を失った子供への手紙で書いていました。
「君がいくら義足をつけていても好きだ。義足をつけているから、ほかの子よりももっと好きだ」と。



「義足をつけているからほかの子よりも好きだ」って、

それただのフェティシズムだから。


フェチならフェチでいいですよ。
でも、教師が生徒に言うべき言葉じゃないでしょう。


義足をつけていない子供はどうなるんですか。




先住民の作ったものならガラクタでもありがたがる人がいます。
歌手が沖縄出身と分かっただけで熱烈なファンになる人もいます。

誰かが「趣味じゃない」などと言ったりしたら
いきなり怒り出したり、不機嫌になったりします。



発展途上国のものはすべて賞賛しなければならないと
勝手に決めている人もいます。
こういう人は逆に、欧米のものはすべて罵倒します。
(しかも、当事者よりもむしろ支援している人に多かったりするし)



さらによくあることなのですが
運動にかかわっている者同士で固まって
妙な選民思想を持ち、
かかわっていない人たちに露骨に失礼な態度をとったりします。


で、「それは社会が悪いから」ですと。


社会が悪ければ非常識でいいんですかね。




実際にこの手の人を見てきたんですよ、私。
で、彼らの言葉や態度にわりと傷ついてもきました。




なぜ傷ついたかって、
私自身が自分に律を課していたからです。
「社会が悪いからといって非常識になってはいけない」と。




私自身、「いじめという差別」を長年受けてきました。
いじめだって一種の社会問題です。


それでも不登校にもならず、非行にも走らず
勉強を放り出すこともなく
成績トップクラスを維持するよう努力していたんです。

人と会うときには挨拶をきちんとし、誰にでも丁寧かつフレンドリーに接するようにしました。


だって、今私の目の前にいる人は
私の不幸と直接の関係はないのですから。




そういうときに
上記のようなゆがんだ人権派の人たちの言動を見ると、
自分が必死で生きていることまで否定された気分になりました。

私は日本人で、和人で、本土に住んでいて、先進国の人間で、
アメリカと同盟を結んでいる国の人間で、
だから何をやっても軽蔑されるべきだそうですから。




どこの国でも右傾化や国粋主義が問題になることがありますけど、
原因は案外こういうところにもあるんじゃないでしょうか。

最初は差別されている人たちの境遇に
素直に心を痛めていたのが、
あまりに露骨なプロパガンダと選民思想に嫌気がさして
今度こそ本当に差別する側にまわってしまうという構図です。

私はそうはなりませんでしたけど。




私が「人間の価値は個人としての価値オンリーだ」という
考え方に至ったのは
今まで書いてきたようなことを体験しているからです。

どこの生まれだろうと、いい人もいればいやな人もいる。

今の私にとって、作品を好きになってくれる人は誰だって大切な人です。

国籍や民族で好きになったり、嫌いになったりはしません。

テーマ : 今日のつぶやき。
ジャンル : 日記

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No title

いますね~。こ~ゆ~歪んだ人達。

「自分で自分の価値を見出す」「自分の力で幸せになる」・・・・が出来なかった人たちの中に、

「他人を不幸にする」「差別する」「非難する」という行動に出てしまう人いますよね。
残念ながら、どうしてもこういう人達ってのは居てしまうんですよね・・・・

Re: No title

やっかいなのは、被害者萌え(とりあえずこう呼んでいますが)の人は批判しにくいというところでしょう。
やっているのはいいことだし、本人もいいことをやっているという自負がありますから。
うっかり否定的なことを言おうものなら、排除する側の仲間だと思われちゃうんです。
どうも、100%賛同しないと勝手に敵認定してくるみたいで・・・。

でもそういう人たちの言動で傷ついたり、違和感を持ったりする人がいるのも事実なんですよね。
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プロフィール

探究者ニキ

Author:探究者ニキ
安藤ニキ
神奈川県横浜市生まれ、
慶応義塾大学文学部哲学科卒業の画家。
油彩・版画・ドローイングなど表現方法はさまざま。たまーに漫画も描きます。
作品のお問い合わせはnikiあっとando-kobo.jpへお願いいたします。

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